$shibayu36->blog;

クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「強いチームはオフィスを捨てる」を読んだ


最近リモートワークへの知識に興味が湧いてきたので、ひとまず強いチームはオフィスを捨てるを読んだ。元々はリモートワークについての思い込みがあり、そのためリモートワークの難しさのほうに目が行き過ぎていたのだけれど、この本を読んでみて少し中立よりになれたように思う。そういう面で今の時期に読むには非常に良かった。リモートワークの知識だけというより、普通に働いていても参考になる知識も得られた。

リモートワークを始めたいけど何から始めたらいいかについて分からない人には最適な本。ただし良い本であるという一方で、少しリモートワーク礼賛の傾向があるので、そこは一歩引いて読むと良いのかなと思う。とはいえ、ただ褒めているというだけでなくて、きちんとメリットデメリットの説明や落とし穴の説明もされているので、まあそんなに心配はないかなというイメージ。

いつもどおり印象に残った部分をまとめていく。

働き過ぎることを心配

この本の中で印象的だったのは、リモートワークをする際には社員が本当に働くのだろうかを心配するより、働き過ぎないだろうかを心配したほうがいいと書いてあって、非常に興味深かった。おそらく37シグナルズでリモートワークをしていると、何回もこのような状況になって、社員の健康面などで問題が起きたのではないかと思われるし、説得力がある。

確かにリモートワークで行うと、仕事とプライベートの境目がぼんやりするため、やる気がある仕事が割り当てられると、ひたすら仕事に打ち込んでしまいそうな気がする。

37シグナルズでは推奨勤務時間が週に40時間で、それ以上働いても特に褒められない雰囲気にしているっぽい。この章以外にも仕事用のPCとプライベート用のiPadとかで分けたほうがいいとか、仕事とプライベートをうまく切り分けるコツみたいなのがいろいろ書いてあって、なるほどと思った。

島流しにならないために

リモートワークが失敗する典型的なパターンの一例として、一人だけリモートワークさせてみたら数カ月後その人とうまくコミュニケーションが取れず失敗し、リモートワークはだめだという雰囲気になると書いてあった。

リモートワーク確かにまずは一人でとやると失敗しそう。自分自身もSkypeやビデオ会議で一人だけリモートにいる会議に何度も参加したことがあるけど、大体会議の主催をしている側、もしくは人数が多い側が会議の主導権を握ってしまい、もう一方は意見を言いづらいという状況が出来上がる。他にも、この前ハングアウトで会議してみたけど、一人だけハングアウトはうまく行かなくて、全員がハングアウトにしたら少しうまくいったって話を聞いたので、納得感がある。

もしリモートワークを小さく導入するなら、まずはオフィスにいるんだけどリモートにするとか、週に一日だけみんなでリモートにするとか、そういう工夫が必要そう。「小さく」を「人数を少なく」という方向で考えないようにしたい。小さく導入するという話は昔開発フローに新しい仕組みを導入するとき気をつけていること - $shibayu36->blog;というエントリで書いてみたことがあるので参考にどうぞ。

採用にはクイズではなくリアルな質問

なぞなぞで仕事の質は測れない、という章があった。[asin:4791760468:title]という本が話題になり、謎かけで採用を決めるというブームが昔あったが、そんなことは絶対にないという話が書いてあった。その代わり37シグナルズでは、例えばカスタマーサポートの採用をしたいときは、日々のサポートにやってくる質問のいくつかをピックアップしてメールで送り、メールの返信でそれに対して答えてもらうようだった。他にも一旦2週間とかで契約し、一つプロジェクトを任せてから合否を決めるということを試しているということも書いてあった。

この話はおもしろいと思う。実際に仕事のシミュレーションをするという面で、ただの面接などと比べるとその人の能力をうまく判定できそう。その一方で採用を受ける側のコストが非常に高くなるという面もありそうだが、その辺をどう折り合いをつけているのか少し気になった。

推測としては、リモートワークをうまく行う前提として採用がきちんと出来ているという前提が必要なので、そこは会社側もコストを支払うし、コストを支払ってでも来てくれる人を採用するようにしているのではないかと思う。

この話はリモートという話とは関係なく参考になる話なので、もう少し考えてみたい。

まとめ

トピックごとで参考になる話が多かったので読んでみて正解だった。リモートワーク入門してみるにはこの本を読んでみると良さそう。

この本を読んでみると、リモートワークをする上で暗黙に行われている前提条件がありそうに見えたのが興味深かった。僕の考えた中では、少なくとも「採用がうまく動いていて、会社に合う優秀な人が雇われている」、「リモートワークをする人の文章力が最低限ある」くらいの前提条件がありそうと思ったがよく分からなかった。もし実際にリモートワークをしているところで、この辺に関して知見がある人がいたら教えて欲しいです。

また、新人が入ってきた時の教育をリモートで出来るのかという疑問がわいた。実際に教育が必要な人を雇わないのか、そういう人が入ってきたら最初はオフィスでやるのか、どういう手段を取っているか気になる。

いろいろ興味がわいたので、他にリモートワークに関する本があったら読んでみたい。いまいち見つからなかったので、こういう本を読んでみればというおすすめがあれば教えてください。

見学のときに不動産屋に質問して得た有益情報

良い物件ではなく良い不動産屋を探した - $shibayu36->blog;

先日の物件探しの見学のときに、不動産屋のこと全く知らないし質問チャンスと思っていろいろ聞いたのだけれど、いろいろと内容が面白かったので公開します。ちなみに京都で、かつその不動産屋で、ということなので、一般的ではないかもしれません。

その部屋が隣の音漏れがあるかとか運ですよね

雑談してて、部屋の間取りとか条件とかは情報で得られるけど、壁の音漏れとか、条件に入ってこないところとかもあったりして、そういう部分を含めると引っ越しは運ですよねーって話をしてたら、有益情報を得られた。

  • 正確さは保証できないが、実は壁の音漏れなどの情報を得ることも出来る
  • そういう条件に入ってこない悪い部分があると、住人が管理会社に何度もクレームを送って、対応されないから退去ということが起こる可能性がある
  • なので、退去理由やクレームの量・内容を、その物件の管理会社に質問をすると、少しではあるが情報が得られる

なるほどと思った。もちろんクレームを出さずに即座に退去する人もいるだろうし、正確な情報とは言えないが、このような情報は参考情報として役に立つと思った。こういう風な発想は無かった。

そういう情報聞いた上で現在の住居の退去申請をしたら、管理会社にそれとなく「今の家でなんか不満とかありました?大丈夫です?」のようなことを聞かれて、さらに「なるほどこういう風に情報が回るのか」という気持ちになった。

探す時期はいつが良い?

これも雑談で、実際探す時期によって良い物件が出やすい時期とかそうでない時期とかあると思うんですけど、結局どの時期が一番探しやすいんですか?という話になった。これも有益情報を得られた。どのようにして物件を選びたいかにも依存するようだった。

2~3月は

  • 非常に物件が多く、自分の条件にマッチした物件を探すには適している。
  • ただし3月退去の人が多いため、見学は一切できない。見学をしてから選びたい人には不可。
  • また需要が多いため、値段交渉などは難しい

7~8月は

  • 時期としては悪くない
  • 転勤などである程度部屋が空いている
  • 既に空いていることが多く、見学などできることが多い
  • 大家としても1ヶ月空けておくだけで損なので、値段交渉もしやすい

とのことだった。

確かに今回は見てみたい物件がほとんど見学も出来て良かった。見学してみると微妙な物件とかも多数あって、まあ見学できないと辛そうなのでこの時期で良かったようだ。

値段交渉というのも軽く言ってみたら3000円家賃下がって良かった。

専任媒介っていうのが殆ど見つからなかったけどなぜ?

家賃を8,000円下げて引越せた話 - shota-mのはてなブログ を見ていて、専任媒介良さそうだなー、良さそうなものあったら専任媒介かどうか見てみようと思ってたのだが、実際には探した中には専任媒介が一件も無かった。気になると思って、これも質問してみた。

  • 今は専任媒介だとなかなか部屋を貸し出せない
  • そうすると大家さんは管理会社や不動産屋に、「なんで貸し出せないのか」と詰め寄られる
  • その時、専任だときついですねと提案する
  • 他の業者でも取り扱っても良いということになれば、業者用のネットワークに情報を流す
  • そのためほとんどの物件は専任でなくなる
  • こういったネットワークに情報が流れるので、京都内であればほとんどの物件を紹介できるようになっている

とのこと。

実際に前回のエントリーのブコメでも、業者用ネットワークの話が少し出ていたので、これのことなのかなと思った。今は不動産も露出を増やさないと貸し出せないのかと思った。今はということなので、昔はどういう形態で行われていたのか気になる。もうちょっと質問したらよかった。

和室だと結構安くなってたけどなぜ?

いろいろ探していると、和室が含まれる物件は、大体同じ条件の物件と比べて5000円以上は安いという状態になっていたので、これも質問してみた。

  • まず前提条件として和室は今のトレンドではない
    • 売っている家具なども洋室を前提として作られている
  • そのときに和室を含む物件を持っている大家さんの進む道としては二通り考えられる
    • 和室をリニューアルして、洋室に変え、相応の値段に変えて貸し出す
    • 和室のリニューアルはせずに、家賃を安くしてなんとか貸し出す
  • 大体和室の場合は、維持費も多めにかかるし、家賃も安くなってしまうので、リニューアルしてしまったほうが結果的には安くつく方が多い

おもしろい。つまり安く出されている物件は、リニューアルをせずに家賃を安くして貸し出そうと選択している物件のようだ。逆にリニューアルしたという物件はこちらでは探せないからどのくらいの比率でそういう物件があるのか気になる。

大体一日何件くらい見学するのが良い?

見学する物件、一日にどのくらい見るのがいいのかなと疑問に思ったので聞いた。

  • 大体5件くらいが適してる
  • 男性の方がいろいろ見たいという風になって、10件とか見に行くことがあるけど、大体5件くらいで弱ってきて最後には最初の方の物件の印象がなくなっている
  • 大体これもあれもってなるけど、条件にマッチしていないものはどんどん切って行ってピンポイントで見るのがよい

男性の方が興味本位で見に行くことが多く、そして失敗してるというのが笑った。確かに見学に行くと、大体5件くらいで疲れてきて、もういいかってなってくるので、このくらいが良いのだろうなと思った。


あと全然関係ない情報だったけど、学生で高野くらいに住んでいて、仕事をきっかけにもうちょっと中心に住もうと思い始めた人が一番大変と言ってて面白かった。高野あたりは結構家賃安いので、55000円くらいで烏丸沿線になんかないかとか言い始めて、そんな安くて良いのは存在しないとまずは知ってもらうために見学案内するっていってて面白かった。

烏丸沿線高いけど、その次はどこ?

烏丸沿線で探していたけど、結構高いので、次に探すとしたらどのへんなんですかねって聞いた。これは京都限定情報っぽい。

  • 大体その辺が高いとなってきたときに次に薦めるのが大宮周辺
  • 大宮周辺は物件として色んなバリエーションがあり、かつ交通の便も良い
  • 二条城あたりも交通の便は良いのだけど、バリエーションが少ない

非常に困ったと思った物件

あとこれも雑談で、困った物件?という話を聞いてた。聞いてみると、インターネットは無料って書いてあるのだけど、その内容を聞いてみると1Mしか速度が出ないとか言ってきた時、みたいな話を聞いた。

不動産会社的にはインターネットはまだまだ素人で、条件を聞くのが非常に難しいと言っていた。このへんの業界の人は自分で確認するのが良さそう。

まとめ

いろいろ相談したり見学したりは5時間程度と少なかったけど、結構いろいろな情報を聞けて良かった。不動産屋の生の情報、インターネットになかなか載ってないので、非常に参考になる。

インターネット非常に便利でたくさんの情報を得られるのだけど、ピンポイントで自分の知りたい情報を得るのはなかなか難しい。そういう場合は専門家が出てくる機会を狙って質問しまくるのが良い。インターネットと口頭コミュニケーションをバランスよく使っていきたい。