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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

モチベーションと目標設定・教育と褒める叱る - 「1分間マネジャー」を読んだ

前回紹介した1分間マネジャーの時間管理が非常に面白かったので、それに引き続き、今回はこのシリーズの第一作目である「1分間マネジャー」を読んだ。今回の本も非常に面白かった。


このシリーズは一貫して小説のような簡単なストーリーを通じて、重要なエッセンスを教えてくれるというものになっている。1分間マネジャーはその一作目。今回の本はマネジャーになった場合の行動の秘訣(一分間目標設定、一分間称賛法、一分間叱責法)について、若者が実際のマネジャーに質問しながら学んでいくという風に話が進んでいく。

僕自身が最初読んでいた時は、前半は結構ざっくりとした話だったので、あんまりおもしろくないなーと思いながら読んでいたのだが、後半部分からなぜそれが大事なのかという話になったときに突然面白くなり始めて、最終的な評価としてはマネジャーになりたての人は是非読んだほうが良いという結論になった。この本は150ページもなく、しかも小説っぽいストーリーにそって進んでいくので、すぐ読める。


今回も自分の中で印象に残った話について話していきたいと思う。今回も自分の解釈で書いていってるので正確性などは保証しない。

  • モチベーションのための目標
  • 教育のために褒める

モチベーションのための目標

この本では目標設定を明確にすべきだと書かれている。その後なぜ一分間目標設定が効くのかという章があり、そこにボウリングの例が出ていた。その話が非常に分かりやすかったので、それを紹介してみる。

ボウリングの話を簡単に要約すると以下のような話だった。

  • ボウリングは10本のピンがあり、できるだけそれを多く倒すという目標が明確である
  • また目標が明確であるおかげで、ピンが多く倒れること、などが良い成果ということがはっきり分かる
  • ではそのボウリングのピンを倒すという目標が曖昧で、ピンの前に幕が下がっていて、どれを倒せばいいかもはっきりせず、どれだけ倒したかも分からなかったら、いつまでボウリングをやる気になるだろう


この話は自分の中では非常に納得できた。もし人に何かをやってほしいときに、その人に何を期待しているか、何をやって欲しいか、どうなったら良い成果なのかが明らかになってなかった場合、上に書いたボウリングの例での目標が明確でないという状態になってしまっている。また目標が明確でないため、その仕事の良い成果とは何か分からない状態になってしまい、フィードバックを正確に得ることが出来ない。このような状態のまま仕事を渡してしまうと、渡された人はボウリングの例と同様にモチベーションがない状態になってしまうということが容易に想像できる。


以上のことからなぜ一分間目標設定が効くのかについて理解を深めることが出来た。人のモチベーションを高めるためには適切なフィードバックがある状態にする必要があり、そのために目標を明確にし、良い成果とは何なのかが明確になっているということが重要だと感じた。

ただしこの部分は言うのは簡単、行うのは非常に難しいものだと感じる。総じて他人に対して言わずとも分かってくれているだろうとか、これくらいは当たり前だろうと判断してしまい、コミュニケーションの量が減ってしまった結果、曖昧なままタスクを渡してしまうということもよくある。その辺りのことを気をつけたい。


これを読んでいて一つ分からなかったのは、目標とはどの範囲のことを指しているのかについてである。目標はいろいろあって、これからやりたい小さいタスクに関する目標、特定のプロジェクトの目標、半年の個人目標などいろいろある。なんとなくでは、今回この本が話しているのはこれらすべてなんじゃないのかなと思っているが、そのあたりまだ深堀りできてないので、時間があるときにもう少し考えていきたい。

教育のために褒める

この本の中で、一分間称賛法が重要という話が出てくる。こちらもなぜ一分間称賛法が効くのかという章があるのだが、それを読んでいると一分間称賛法というのはつまり教育を目的としているのではないかと感じた。


この本の中に以下の様なことが書かれていた

誰かを訓練して勝者にしようとするとき、もっとも大切なのは、仕事をうまくやっているところをとらえること、それも初めはおおよそでいいから正しくやっているところをとらえ、次第に希望どおりの行動に移らせていくことだ。

この部分、本の中では赤ちゃんに言葉を教えるときの指導という例が非常に分かりやすかったのだけど、少し長めなので割愛する。

これを自分なりに解釈すると

  • 人に何かを出来るようにさせようと思ったら、まずは仕事を大体うまくやれていることを見つけてあげ、良いことであると褒める
  • その後少しずつその仕事が正確に出来るようになるまで続けて指導していく

ということのようだった。


これもなるほどと思った。得てして教育しようと考えた時、どういうことをしているか本人を観察し、意図と少し違ったことをしていたら指摘するもしくは叱るのような方向になりがちである。しかしもしそのように指摘するという方向でやった場合、かつどのようなことが期待されているか曖昧な場合(これは目標設定に通じるところがある)、その人は叱られないようにできるだけ仕事をやらないとしてしまう可能性がある。そうではなく良い所を捉えてあげて褒め、さらに正確になるように指導していくという方向もあるということが勉強になった。気をつけていきたい。


また教育という側面では叱るという方向も一分間叱責法の章で述べられているのだが、こちらは今回は省略しようと思う。気になる方は本を読んでもらえると良さそう。

まとめ

今回この本を読んで、マネジャーとして重要な要素として、モチベーションを高めるということと、教育するという話があり、そのためのエッセンスとして一分間目標設定、一分間称賛法、一分間叱責法というのが紹介されているのだなと感じた。このあたりの話非常に面白いので是非読んでみると良さそう。


自分の次の興味としては、ではモチベーションとは何なのかという部分や、良い目標設定とは具体的には何なのかという部分になった。そこで次は以下の様な本をまた読んでいきたいと思う。

1分間モチベーション

1分間モチベーション

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「クジラは潮を吹いていた」を読んだ

最近エンジニア以外の職種の考え方みたいなのをもっと知りたくて、そのためにいろんな本を読みたいと思っている。今回の本はデザイン的な考え方をなんとなく覗いてみたくて読んでみた。


まずこの本を読んで感じたことは、すべてのモノにはデザインが関わってるんだなということ。そりゃ当たり前だろという感じなんだけど、今自分が持っているペットボトルにもデザインが、スーパーマーケットに並んでいる食品パッケージにもデザインが、そのあたりに貼ってある広告にもデザインが、薬のケースにもデザインが、それぞれあるということを改めて認識した。自分はWeb系に関わっているので、Webデザインというものにフォーカスが当たりがちだけど、実際には様々なものにデザインがある。そう考えると少し歩いているときに見えている風景が変わった気がする。


次に感じたことは、デザイナは自分の伝えたいメッセージと人がそれを見てどう感じるかをうまく混ぜてプロダクトを作っているのだなと感じた。本を読んでるとすごく人を観察しているし、ものを観察しているし、それがどのように人の感情に影響を与えてるかを観察してるイメージ。そう考えるとデザインしているときはとにかく人を意識して作るのだろうか。成果物に対するフィードバックはそれがリリースされて人に使われて初めて感じることが出来るのだろうか。エンジニアとして過ごしていると、作ること自体が楽しい時もあるので、そのあたり少し意識の違いがありそうと感じた。


またデザインの要素というのも目線を広げることが出来たような気がする。これまではデザインといえば色、形という要素しか自分の中では考えられてなかったけど、実際にはデザインをする上ではもっといろいろな要素がありそうだった。色、形はもちろん、配置、質感、文字、フォント、他にもたぶん僕が感じられていない様々な要素がある。この本の中に、脇役のデザインという話もあって、逆に目立たせないデザインという方向でも考えてたりするところも面白かった。デザインの要素はいろいろある。面白い。


この本を読んでいて、結局「クジラは潮を吹いていた」というのはなんなのだろうと思いながらずっと読んでいたのだけど、それに関しては最後の方に言及があった。この言及が非常に面白くて、なんか夜ぼーっと読んでいたのに鳥肌が立つ思いがした。なんで鳥肌が立ったのかはよく分かってないのだけど、この小さなところからイメージをふくらませて深いデザインを作ることがあるのかと思ったからなのかもしれない。


さらっと読んだだけなのだけど、自分の目線を広げることが出来て非常に面白かった。デザインのマインドの話結構興味があるので、おすすめ本などあれば教えて欲しいです。